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2010年8月 2日 (月)

光(タキオン)より速い者はいるのだろうか――? ~ アグネスタキオン・長浜師インタビュー

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アグネスタキオンについて、クラシック前に長浜師にインタビュー。これを聞いたとき、まさかダービーに出れないとは思いませんでした。(掲載 競馬フォーラム)

光(タキオン)より速い者はいるのだろうか――?

今年の皐月賞、主役は間違いなくアグネスタキオンだ。競馬関係者の誰もを納得させるほどの強さ。まだGⅠひとつ獲っていないのに早くも〝三冠〟〝史上最強馬〟の呼び声がかかるあたり、タダモノではない。その評価の高さは周囲だけでなく、長浜師本人に〝三冠〟を口にさせてしまうほどである。

「ラジオたんぱ賞(昨年12月23日)を終わってすぐ、『タキオンは三冠を意識させる馬』と公言してきました。厩舎を開業して14年になりますが、〝三冠〟という言葉を口にしたのはもちろんタキオンが初めてです。

 何故、そこまで言い切れるかといえば、タキオンという馬はレースに関することでのプレッシャーを全く感じさせないからです。持っているもの、天性の素質の違いを感じます。同じレースを使ってきた関係者の方に申し訳ないけれど、他の馬と一緒に競馬をしている感じがしない。タキオンが1頭だけで走っているように見えます。」

 プロ中のプロである長浜師をそこまで納得させてしまうタキオン。牧場時代からひと際目立つ存在だったというから、まさに超エリートコースを驀進中である。

「心配なのは脚元です。あの血統は兄弟全員脚元が弱い。だから、それさえクリアされれば馬に対して我々が感じるプレッシャーは何にもないんですよ。

でも、プレッシャーがある程度あったほうが緊張感があっていい。だったら、自分たち自身にプレッシャーをかけるにはどうするか――。それがあえて『三冠』を口にすることだったんです。」

アグネスゴールドがきさらぎ賞Sを優勝。そこで下したメンバー、そして今年の3歳馬たちの面々を見渡したとき、ゴールドを基準に力関係を考えるとタキオンがケタ違いに強いことを実感したという。

「実際に三冠を獲れる、獲れないは別にして、『三冠を獲れる可能性がある馬』だと言いました。そして、最初にそう言った後も実際に今までタキオンとゴールドは同世代の馬たちを負かしてきた。

2頭比べると、ゴールドは後方策一辺倒。去年、それでもフライトはダービーを勝ちましたけど、展開や頭数に左右されやすいですからね。

それに比べるとタキオンはレースに自在性がある。行こうと思えば行けるし、終いも切れる。そうなると、クラシックで三冠を狙うにはタキオンのほうが有利です。」

 しかも、弥生賞であれだけの道悪もこなしたのだから、最初に三冠発言をした時より、その自信は深まる一方だろう。

「そうですね。時々、フォームを崩したりして決して道悪が上手い訳ではありませんが、実際に勝ちましたからね。僕は道悪、頭数、展開などに左右されるようでは真のオープン馬ではないと思ってますが、その点、タキオンはそれをすべてクリアしています。

この馬の場合、どこがどう強いの問題じゃないんです。」

 これほど文句のつけるところのないタキオンだけに、早くも皐月賞、日本ダービー、菊花賞の先をも考えても不思議ないだろうと海外遠征について聞いてみた。すると、まず「もちろん考えます」という想像どおりの答えの後、意外な台詞が返ってきた。

「しかしね、せっかく日本にスターホースが誕生したらその馬は日本で活躍させたいと思うんですよ。今、日本競馬は数年に渡って売上が下がり、明らかに苦しいという現実があります。だからこそ、このままではいけない。スターホース同士の対決を日本の競馬の中でファンの方にお見せして、少しでも事態を改善できたらと思うんです。」

 弥生賞では場内に〝タキオンコール〟が響き渡った。まさにあれこそ、スターホース誕生の瞬間であった。そして、その声をかけたファンたちは心の中でスター同士の戦いを切に望んでいる。気が早い話がタキオンに望んでいるのは三冠以上に今の日本競馬界における孤高の帝王・テイエムオペラオーとの対決である。

「テイエムオペラオーは強い。関係者も努力されてるし、あそこまで勝ち続けたんだと思うけど、関心ばっかりはしていられんしね。」

物理的に可能なのは今年の宝塚記念。だが、さすがにそこでタキオンとの対決なさそう。

「さすがにまだタキオンは子供です。その前にまずフライトにテイエムオペラオーを倒してもらいたい。できることなら、テイエムオペラオーを一番最初に負かす馬になって欲しい。」

 ラジオたんぱ賞くらいまではタキオンが「ダービー馬・アグネスフライトの弟」と呼ばれていた。が、今ではまだ実際にGⅠひとつ手にしていないにもかかわらず、フライトのほが「タキオンの兄」と言われてしまっている。

「それについては、私も納得してしまう。それだけ、タキオンには弱点がないし、力強さがある。しかし、その反面ジレンマも感じているんです。実際にGⅠを、ダービーを勝ったのはフライトのほうなのだから。それを思うと一層、兄のメンツをかけてなんとかテイエムに勝たなきゃいかんな、と思うんです。」

取材中、厩舎で隣に並ぶフライトとタキオンを見せて頂いた。タキオンのほうがひとつ若いだけあってヤンチャである。顔つきなどは毛色も同じ全兄弟だけあってよく似ていた。

「確かに外見はよく似ている兄弟です。フライトのほうがきれいな明るい栗毛で、タキオンのほうが光沢はあるけどちょっと濃い栗色をしています。体つきはタキオンはまだ成長途上。フライトはきれいなスッとした馬だから、見た目の厚みや力強さがもっとついて欲しいですね。まだまだトモにも筋肉がつくはずです。

ですが、性格は結構違いますね。タキオンは普段はいろいろうるさい面があるけど、競馬に行ったら堂々としている。その点、フライトは普段でもおとなしい。」

 そう言いながらしばらくタキオンとフライトの様子を見せて頂いたが…。2頭並ぶと明らかにタキオンのほうが目立っていた。フライトが品よく大人しくしているのに対し、タキオンの態度は何一つとっても実に威風堂々としているのだ。見ている側を威圧するパワーはタキオンが上をいくことは素人でもわかるほどだ。

「比べると明らかにタキオンのほうが力強いですね。レースぶりも気性も。フライトにはタキオンと足して2で割るくらいの力強さが欲しい。その力強さが完全に備わっていないフライトにはオペラオーは強敵かもしれませんね。」

 ちなみに、アグネスフライトの体は古馬になってからの成長は「あまり変わってない」とのこと。

「デビュー当時から体はよかった馬なので、走るたびに変わった印象は少ない。脚質的にもあまり変化がない。最近は前で競馬をするように心がけているし、調教でもそのように仕向けている。今までのような追い込み一辺倒のレースパターンでは展開にかなり左右される。それがうまくいけばタキオンのようにスッと行きたい時に切れる脚を使えるようになるかな、と思う。」

 そういった兄の成長ぶりを聞くにつけ、まだ体も成長しきっていないタキオンには限りない可能性があるようにしか思えない。そう言うと、長浜師はニッコリと余裕の微笑みを見せた。

「なのに、タキオンは現時点でフライトに課せられた課題をクリアしているんですよ。」

 クローズアップすればするほど、強さしか見えてこないアグネスタキオン。となると、最後の興味はやはり兄弟対決か!?

「いやいや。その前にまず、フライトがテイエムオペラオーを倒さないことにはね。そうなった次の段階で〝兄弟対決〟ですよ。夏をどう過ごすかとか、順調に春を過ごし切れた時の課題はたくさんありますから。

 とにかく脚元を無事に春競馬を乗り切りたい。タキオンへの課題はそれに尽きます。」

| | コメント (3)

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コメント

あごに手をやりながら読ませていただいています。
ありがとうございます。

投稿: 顔もみ | 2010年8月 2日 (月) 15時22分

言葉ひとつひとつ、何というか、読んでてゾクッとします。タキオンのすごさがグイグイ伝わってきます^^

投稿: とつぜんのはぴねす | 2010年8月 2日 (月) 22時51分

ありがとうございます。おかげで当時を思い出しました。ラジオたんぱ賞の勝利で三冠を取るんじゃないかと思いました。関係者の方々と同様に色々と夢を描いていたのですが… 非常に高い能力、弱い体質。堂々たる気性、そして早世も血の宿命でしょうか。宿命と思って残念な気持ちを紛らわせています。

投稿: 遊鶴亭 | 2010年8月 3日 (火) 00時52分

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